開催中
2026.4.25(土)〜2026.7.5(日)
*会期中の休館日:6.26(金)~6.30(火)
「出世魚」とは、標準和名のほかに、成長の度合いに応じて呼称が変わる魚の総称です。
ブリは最もよく知られるところですが、ほかにも例えば、寿司ネタとして人気のコハダは標準和名・コノシロのまだ小さな個体の名ですし、意外なところでは、日常の食卓でおなじみのイワシも出世魚に数えられることがあります。
名前の変わり方は全国で一定ではなく、ブリであれば、関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリと変わりますが、それ以外にも各地に別称があり、地域性に富んでいるのも面白い点です。
なぜこのように呼び方を変えたのか?成長して大きさが変わることによって、調理方法や商品価値が変わるため、区別しやすいよう異なる名称を使用したという説もあります。
また、武士が元服して名前を変えるのに似て縁起の良いことから、出世魚はハレの場でも盛んに使用されており、日本人の生活慣習とも密接な関わりがある文化と言えます。
本展は、名前を変えてゆく出世魚を通して、日本の魚食文化の奥深さや、それらを漁獲するための漁師の知恵が詰まった漁撈習俗、言語・信仰などと海との結び付きを多くの方に感じていただくために企画しました。
出世魚のひとつで、特にここ鳥羽と所縁の深いのがボラです。
ボラは海底の泥のなかからエサを探して食べるため、特に戦後の高度成長期における深刻な海洋汚染により〝臭い魚〟のレッテルを貼られてしまいましたが、かつては沿岸漁業の中心的な位置を占め、大漁に恵まれた漁船が帰港する際に、港はお祭り騒ぎだったと言います。
賑わいの象徴で縁起も良いボラは、鳥羽志摩の多くの漁村で慶賀行事の祝膳として活躍し、祭礼では二匹の魚を藁紐の両端に結わえて吊り下げる〝懸け魚〟や、長い箸と包丁で魚に手を触れずさばく真魚箸神事で使用されるなど、ハレの場に欠かせない魚でした。
本章ではほかにコノシロ・スズキ・ブリ・イワシを中心として、それぞれの漁法や、ことわざのなかの出世魚、祭礼・絵馬に登場する出世魚などをテーマに、漁具や絵図などを用いて展示をします。
何をもって出世魚と言うか?という定義について、もちろん成長段階による呼称変化が前提ですが、その条件を満たしても出世魚にはカウントされない魚も多くいます。
一例をあげるならば、お馴染みのクロマグロは、地域や成長段階によってメジ、シンコ、ヒッサゲ、ヨコワ、カキノタネ、ダルマといった呼称を持ちます。
しかし、今でこそ大人気のマグロも戦前までは大衆魚で、特にトロは脂の多さから敬遠されていたと言われます。マグロの別称の「シビ」が「死日」に通じることから江戸時代以前には不吉な魚と見る向きもあったようです。
つまり、縁起のよいイメージの有無が、出世魚含むかどうかには重要であるとされます。とはいえ認定団体や〝縁起の良さ〟に明確な基準もないので、出世魚としてとりあげなかったけれど、面白い幼名を持つ魚をピックアップして、ご紹介したいと思います。
予告
2026.7.18(土)~11.1(日)
海を漂流して、海岸に漂着するごみ(自然系・人工系)は以前から深刻な社会問題でしたが、特に近年、SDG‘s活動の推進や、マイクロプラスチック問題の認知度上昇などにより、海洋ごみへの社会的関心が高まりつつあります。鳥羽市は伊勢湾の海流の多くがぶつかる位置にあり、答志島の奈佐の浜をはじめとして、大量に押し寄せるごみへの対処は喫緊の課題です。
本展は、伊勢湾~志摩半島周辺に漂流・漂着する海洋ごみの現状や問題点を明らかにするとともに、それらを利用したアップサイクル商品・アート作品、環境保護のための企業の取り組みなども交えて、プラスチックごみの減量や資源の循環、環境への負荷軽減などについて広く意識を高めるべく開催します。また展示観覧者が海洋ごみと自身の生活とを結びつけて捉え、課題解決のためにどのような意識を持ち、行動すればよいか(消費行動の変化、森林の保全、ごみの適切な廃棄、リサイクルの推進等)、能動的に考えてもらうことを目指します。
■主催 鳥羽市
■後援 (一社)伊勢志摩国立公園協会、22世紀奈佐の浜プロジェクト
■協力 積水化学工業株式会社